創業から数年が経ち、事業が軌道に乗り始めた今、
目の前の仕事や売上を作ることに集中するあまり、
どうしても経理や数字の確認は後回しになってしまいがちではないでしょうか。
年に一度の決算で、税理士から分厚い書類を渡されても、
「難しくてよくわからないから」と、結局「いくら儲かったのか(利益)」と
「税金はいくらなのか」だけを確認して、ファイルに閉じてしまう。
忙しい中で、複雑な会計用語を理解するのは大変なことです。
しかし、会社の生存率を高め、この先も安定して成長を続けていくためには、
「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」の役割の違いを
理解しておくことが非常に大切です。
実は、黒字なのに会社が倒産してしまう原因の多くは、
この2つの表のバランスを見落としていることにあります。
この記事では、簿記の詳しい知識がない方でも直感的にわかるように、
経営者として最低限知っておくべき「2つの決算書の違い」と「見るべきポイント」を
わかりやすく解説します。
数字アレルギーの方こそ、ぜひ最後までお付き合いください。
ここを押さえるだけで、経営の景色がガラッと変わるはずです。
なぜ、「損益計算書(P/L)」だけでは危険なのか?

経営者の皆様と決算の打ち合わせをしていると、
一番盛り上がるのはやはり「損益計算書(P/L)」のお話です。
「今年はこれだけ売上が伸びた」
「経費をこれだけ削減できたから利益が増えた」
といった会話は、1年間の頑張りが数字として表れている証拠ですから、
気になって当然のことかと思います。
しかし、損益計算書だけを見て「黒字だから安心だ」と判断してしまうのは、
実は非常に危険なことなのです。
この章では、なぜ多くの経営者が損益計算書ばかりを見てしまうのか、
そしてその裏に潜む「黒字倒産」のリスクや、
銀行などの外部機関が本当に見ているポイントについて詳しくお話しします。
多くの経営者が「損益計算書」を重視してしまう理由
まず、なぜ私たちは損益計算書(P/L)ばかりに目が行ってしまうのでしょうか。
それは、損益計算書が「1年間の成績表」のような役割を果たしているからです。
学校の通知表と同じで、「どれだけ頑張ったか」が「売上」や「利益」という
わかりやすい数字で表現されます。
特に創業間もない時期や、事業拡大期には「とにかく売上を上げること」が
最優先課題となります。
日々の営業活動の結果がダイレクトに反映されるP/Lを見ることは、
経営者のモチベーション維持にもつながりますし、
次の戦略を立てる上でもわかりやすい指標になります。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
損益計算書はあくまで「収益と費用」を計算したものであり、
「会社に今、現金がいくらあるか」を表したものではないのです。
「利益」と「お金」は別物であるという現実
「決算書上では利益が出ているのに、手元の通帳にはあまりお金が残っていない」。
もしかすると、あなたもこのような違和感を抱いたことがあるかもしれません。
これは、経営者であれば誰もが一度はぶつかる
「会計上の利益と、実際のキャッシュ(現金)のズレ」という問題です。
なぜこのようなズレが起きるのでしょうか。主な原因は以下の2点です。
- 売上の入金と支払いのタイミング(タイムラグ)
通常、企業間の取引では「掛け売り」が一般的です。
今月商品を納品して売上が確定しても、実際にその代金が入金されるのは
翌月末や翌々月末になることがあります。
しかし、仕入れ代金や従業員への給与、事務所の家賃などは、
入金を待たずに毎月支払わなければなりません。
損益計算書上では「売上」が計上され「利益」が出ていることになっていますが、
手元に現金が入ってくるのはまだ先の話です。
このタイムラグが、資金繰りを圧迫する大きな要因となります。 - 借入金の「元本返済」は経費にならない
ここが最も誤解されやすいポイントですが、銀行から借りたお金を返す際、
利息部分は「支払利息」として経費になりますが、「元本の返済部分」は経費になりません。
損益計算書には、元本返済の支出は一切記載されません。
つまり、損益計算書上で「利益」が出ていても、そこから税金を払い、
さらに決算書には載っていない「借入金の元本返済」を現金で行わなければならないのです。
「利益は出ているのに、なぜかお金がない」という現象の正体は、
多くの場合、この借入金返済が利益(キャッシュフロー)を上回っていることにあります。
黒字倒産の正体:数字のバランスを欠いた経営
上記の「利益と現金のズレ」を把握せずに、損益計算書の利益だけを見て
「今年は儲かったから」と過度な設備投資や役員報酬の増額を行ってしまうと、
どうなるでしょうか。
帳簿上は黒字です。しかし、支払いのための現金が枯渇してしまいます。
取引先への支払いや手形の決済ができなくなれば、会社は倒産してしまいます。
これが、いわゆる「黒字倒産」です。
真面目に事業を行っている経営者様ほど、赤字を出すことを嫌います。
もちろん赤字は避けるべきですが、無理に利益を出そうとして在庫を抱えすぎたり、
回収サイトの長い売上を増やしたりすることで、かえって資金繰りが悪化することもあります。
会社を存続させるために本当に必要なのは、「帳簿上の利益」以上に
「手元の現金」であることを、まずは強く意識していただきたいのです。
銀行や税務署は「通知表」よりも「健康診断書」を見ている
もう一つ、知っておいていただきたい重要な視点があります。
それは、銀行や税務署といった外部の専門家が何を見ているかという点です。
銀行が融資の審査をする際、彼らは損益計算書(この1年でいくら儲かったか)
ももちろん見ますが、それ以上に「貸借対照表(B/S)」を重視します。
貸借対照表は、創業から現在に至るまでの会社の資産状況や負債のバランスを表す、
いわば「会社の健康診断書」です。
いくら今年の成績(P/L)が良くても、過去の蓄積である健康状態(B/S)が悪く、
自己資本が少なかったり、借金が資産を超過していたりすれば、銀行は
「この会社には基礎体力がない」
「貸したお金が返ってこないリスクが高い」
と判断します。
また、本業がお忙しい中で経理を後回しにしていると、
貸借対照表の中に「使途不明金」や「実体のない資産」が計上されたままになることがあります。
コンプライアンスを重視される皆様だからこそお伝えしたいのですが、
こうした「汚れたB/S」は、税務調査での指摘事項になるだけでなく、
金融機関からの信用を大きく損なう原因にもなります。
損益計算書について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください
図解いらずで直感的にわかる!2つの違いと見るべきポイント

損益計算書(P/L)だけを見ることの危険性についてお話ししました。
「じゃあ、結局どう見ればいいの?」
「簿記の資格なんて持っていないし、数字の羅列を見るだけで頭が痛くなる……」
そんな声が聞こえてきそうです。ご安心ください。
経営者に必要なのは、簿記検定に合格するための細かい仕訳の知識ではありません。
「この数字が何を意味しているのか」という「大枠のイメージ」と、
会社の生死に関わる「急所」を知っておくだけで十分です。
この章では、専門用語を極力使わず、
直感的に理解できるイメージと3つのチェックポイントをお伝えします。
直感で理解する「P/L」と「B/S」の決定的な違い
まずは、2つの決算書の役割を、もっと身近なものに例えてみましょう。
私はよく、お客様に次のように説明しています。
- 損益計算書(P/L)は「ビデオ(動画)」
- 貸借対照表(B/S)は「写真(静止画)」
どういうことか解説します。
損益計算書(P/L)=「1年間の動き(フロー)」
損益計算書(Profit and Loss Statement)は、ある決まった期間(通常は1年間)に、
会社がどう動いたかを表す「ビデオ」です。
「4月1日にスタートして、翌年3月31日までの間に、これだけ売って、これだけ使って、
これだけ残りました」という時間の流れを記録しています。
ビデオですから、期間が終わればリセットされます。
新しい期になれば、売上も経費もまたゼロからのスタートです。
「今年は頑張ったね(黒字)」「今年はちょっと使いすぎたね(赤字)」という、
あくまでその1年間の成績表にすぎません。
貸借対照表(B/S)=「決算日時点の状態(ストック)」
一方で、貸借対照表(Balance Sheet)は、
決算日(例えば3月31日)の瞬間にシャッターを切った「写真」です。
創業したその日から現在に至るまで、
会社が積み上げてきた結果がすべて写り込んでいます。
- 今、現金はいくらあるか?
- 今、借金はいくら残っているか?
- 創業から今まで、トータルでいくら利益を積み上げられたか?
これらは1年でリセットされません。来期へそのまま引き継がれます。
P/Lが「今年の成績」なら、B/Sは「会社の基礎体力」や「健康状態」そのものです。
いくら今年のビデオ(P/L)が華やかでも、写真(B/S)に写った体がボロボロであれば、
会社は長続きしません。
貸借対照表(B/S)の構造は「右」と「左」で見る
「B/Sが大事なのはわかったけれど、あの表のどこを見ればいいの?」
そう思われるかもしれません。
B/Sを理解するコツは、真ん中で線を引いて「右側」と「左側」に分けて考えることです。
難しい用語は一旦忘れて、次のようにイメージしてください。
- 右側(負債・純資産):お金を「どうやって調達したか?」
- 左側(資産):集めたお金を「何に変えて持っているか?」
【右側】お金の出どころ(調達源泉)
右側は、会社にあるお金がどこから来たのかを示しています。 さらに上下に分かれます。
- 上の部分(負債):他人から借りたお金
銀行からの借入金や、買掛金(これから払うお金)などです。
これらは、いつか必ず返さなければなりません。
「他人の力」で調達した部分です。 - 下の部分(純資産):自分のお金
最初に用意した資本金や、創業から今までに稼ぎ出して蓄積した利益です。
これは返す必要がありません。「自分の力」で調達した部分です。
【左側】お金の使い道(運用形態)
左側は、右側で調達したお金が、今どんな形になっているかを示しています。
- そのまま「現金」で持っているのか?
- 販売するための「商品(在庫)」に変わったのか?
- 営業するための「車」や「パソコン」に変わったのか?
- まだ回収できていない「売掛金」になっているのか?
ここが最大のポイントです。 左右の合計金額は必ず一致します(バランスします)。
だから「バランスシート」と呼ばれます。経営者がチェックすべきは、
「右側(どう調達したか)」と「左側(何を持っているか)」のバランスが
悪くなっていないか、という点です。
忙しい経営者が最低限チェックすべき「3つのポイント」
理屈はさておき、実務でどこを見ればいいのか。
私が税理士として顧問先の決算書を見る際、
真っ先にチェックするポイントは実はたったの3つです。
ご自身の決算書をお手元に用意して、以下の3点だけを確認してみてください。
これだけで、会社の安全性が驚くほどよくわかります。
現預金残高は「月商の何ヶ月分」あるか?(左側のチェック)
一番最初に見るのは、左上にある「現金及び預金」の金額です。
これが、会社の命綱です。 単純な金額の多寡ではなく、「月商(1ヶ月の平均売上高)」
と比較してください。
- 目安:月商の1.5ヶ月~3ヶ月分
例えば、年商3,600万円(月商300万円)の会社であれば、
常に450万~900万円程度の現預金が手元にあるのが理想です。
もしこれが「月商の1ヶ月分未満」であれば、要注意です。
取引先からの入金が少し遅れたり、突発的な支払いが発生したりしただけで、
資金ショートを起こすリスクがあります。
利益が出ていても、この現預金が少なければ、経営者の精神衛生上も良くありません。
まずは「利益」よりも「現預金残高を増やすこと」を最優先目標に据えるべきです。
自己資本比率は「30%」を超えているか?(右側のチェック)
次に、右側のバランスを見ます。「総資本(右側の合計)」のうち、
「純資産(自分のとっておきのお金)」が何%を占めているかを確認します。
これを「自己資本比率」と呼びます。
- 計算式:純資産 ÷ 資産の合計 × 100
この数値が高ければ高いほど、「返さなくていいお金」で経営していることになり、
倒産しにくい強い会社と言えます。
- 危険水準:10%未満
(借金頼みの経営です。少しの赤字で債務超過になる恐れがあります) - 目標ライン:30%以上
(ここまでくれば、銀行からの評価も高くなり、融資が受けやすくなります) - 優良水準:50%以上
(非常に安定しています。新規事業への投資も積極的に行えます)
創業間もない頃は低くても仕方ありませんが、
毎年少しずつこの%が増えているかどうかが重要です。
もし年々下がっているなら、借金が増えるスピードに利益の積み上げが
追いついていない証拠です。
「固定資産」と「長期借入金」のバランスは取れているか?
最後は少し上級編ですが、非常に重要な「お金の使い方のセンス」を見るポイントです。
車や内装工事、機械などの「固定資産(長く使うもの)」を買うために使ったお金は、
どのような方法で調達しましたか?
「短期借入金(1年以内に返す借金)」や「手元の運転資金」で、
大きな設備投資をしていないでしょうか。
原則として、長く使うもの(固定資産)は、
長く借りられるお金(長期借入金)や、返す必要のないお金(自己資本)で賄うべきです。
例えば、5年使える営業車(300万円)を買うのに、
手元の現金や翌月返済の短期借入を使ってしまうと、
一気にお金が減り、日々の資金繰りが苦しくなります。
車が5年かけて利益を生み出すなら、
借金も5年かけて返すのが「期間の対応」として正しいのです。
B/Sの左下にある「固定資産」の金額よりも、
右側にある「長期借入金」+「純資産」の合計金額の方が
大きくなっているか確認してください。
もし固定資産の方が大きければ、短期的な支払いのための資金を
設備投資に流用してしまっている状態(無理な投資)かもしれません。
数字は「嘘をつかない」が「語りかけてくる」
私たち税理士がB/Sを見るとき、単に数字の大小を見ているわけではありません。
その数字の裏にある「経営者の意思」を読み解こうとしています。
例えば、
- 「売掛金が年々増えているが、売上は横ばい」
→ 回収が甘くなっているのではないか?不良債権があるのではないか? - 「借入金は減っているが、現預金も減っている」
→ 無理な繰り上げ返済をして、自分で自分の首を絞めていないか? - 「在庫が急に増えている」
→ 売れ残りを隠していないか?あるいは、大口注文のために攻めの仕入れをしたのか?
このように、B/Sの変化には必ず理由があります。
お忙しいとは思いますが、毎月、あるいは最低でも四半期に一度、
試算表のB/Sを眺めてみてください。
「あれ? なんで現金が減っているんだろう?」
「在庫が先月よりだいぶ増えているな」
そんな「小さな違和感」に気づくことこそが、経営管理の第一歩です。
その違和感を税理士にぶつけてみてください。
「実はですね…」と、そこから深い経営の議論が始まるはずです。
P/LとB/Sの役割の違いと、B/Sを見る際の具体的なチェックポイントをお伝えしました。
これらを意識するだけで、会社のお金の流れが立体的見えてくるはずです。
次は、こうした数字の見方を踏まえた上で、税理士を単なる「記帳代行屋」ではなく、
事業成長のための「パートナー」としてどう活用すべきか、
その未来像についてお話しします。
貸借対照表について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください
税理士流・経営を強くするための「B/S活用術」

ここまで、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の違い、
そしてB/Sがいかに会社の安全性を左右するかをお話ししてきました。
「理屈はわかった。でも、日々の業務に追われて、
自分で毎月そこまで細かく分析するのは正直しんどい……」
そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その通りです。社長の皆様の一番の仕事は、数字を分析することではなく、
「売上を作ること」や「事業の未来を描くこと」です。
だからこそ、私たち税理士がいるのです。
この章では、税理士を単なる「記帳代行と税金計算をしてくれる人(コスト)」と
考えるのではなく、事業を成長させるための「投資対象(パートナー)」として
活用する未来についてお話しします。
「過去の処理」から「未来の設計」へ
多くの経営者様にとって、税理士との付き合いは「終わった領収書を渡して、
過去の数字を整理してもらうこと」が中心になりがちです。
しかし、これは車で例えるなら
「バックミラーだけを見ながら運転している」のと同じ状態です。
もちろん、後ろを確認することは事故を防ぐために大切ですが、
それだけでは目的地(事業の成長)には辿り着けません。
税理士は、整理された「過去の数字(B/SやP/L)」を材料にして、
「未来の地図」を一緒に描くことができます。
- 「今、現預金がこれだけあるから、半年後にこれくらいの投資をしても資金ショートしない」
- 「利益は出ているけれど、在庫が膨らみすぎているから、来月は仕入れを少し抑えてキャッシュを増やそう」
このように、数字を根拠にして「次はどう動くべきか」という
未来のアクションプランを提案することこそが、本来の税理士の価値なのです。
勘や度胸に頼らない「投資判断」の羅針盤
事業を行っていれば、必ず「決断」を迫られるタイミングが来ます。
例えば、
「社員を一人雇いたい」
「新しい機械を導入したい」
「店舗を増やしたい」
といった場面です。
これらを「今の忙しさ」や「なんとなくの売上予測」といった感覚だけで決めてしまうのは、
非常にリスクが高い行為です。
ここでB/Sの視点を持った税理士の出番となります。
もしあなたが「300万円の設備投資をしたい」と相談した時、
ただ「節税になりますから買いましょう」と言うだけの税理士では物足りません。
経営に強い税理士であれば、B/Sを見ながら次のようなアドバイスをするはずです。
「社長、確かに今期は利益が出ていますが、
B/Sを見ると手元の現預金が月商の1ヶ月分しかありません。
ここで300万円をキャッシュで払うと、来月の支払いが危険です。
今は銀行から長期借入を起こして手元資金を厚くしつつ、
その資金で設備を買うのはどうでしょう?
その方が資金繰りも安定しますし、金利も低いので安全です」
このように、攻めるべきか、守るべきか。そのアクセルとブレーキの踏み加減を、
社長の勘ではなく「会社の財務体力(B/S)」に基づいて冷静にジャッジする。
それが、数字に基づいた経営アドバイスです。
銀行が「お金を貸したくなる」会社を作る
先ほど触れましたが、銀行融資においてB/Sは非常に重要です。
事業拡大のために融資を受けたいと思った時、急ごしらえの資料を持って銀行に行っても、
良い返事はもらえません。
日頃から税理士と二人三脚で「きれいなB/S」を作っておくことが、
最強の資金調達対策になります。
- 不明瞭な勘定科目をなくす
「仮払金」や「使途不明金」がB/Sに残っていると、
銀行は「この会社のお金の管理は杜撰だ」と判断します。
毎月の月次決算でこれらをクリアにしておくことが信用に繋がります。 - 試算表の提出スピード
銀行から「直近の試算表を見せてください」と言われた時、
税理士に頼んでこれから作ります」と1ヶ月も待たせてしまうのと、
すぐにメールで送ります」と翌日に提出できるのとでは、
経営能力の評価が雲泥の差です。
税理士をうまく活用し、常に最新の数字が出せる体制(月次決算)を整えておくことは、
いざという時に銀行を味方につけるための「保険」のようなものです。
孤独な経営者の「良き相談相手」として
最後に、メンタル面での価値についてもお伝えさせてください。
中小企業の経営者は、孤独です。
「来月の資金繰りが厳しいかもしれない」
「この事業、本当に続けていていいのだろうか」
といった不安は、従業員には絶対に言えませんし、
ご家族に心配をかけたくないという思いから、
一人で抱え込んでしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな時、会社の「財布の中身」をすべて知っている税理士は、
唯一、腹を割って話せる相手になれるはずです。
私たちは、数字を見るプロであると同時に、
数多くの経営者の浮き沈みを見てきた経験があります。
「他の会社さんは、こういう時にこうやって乗り越えましたよ」
「数字上はまだ体力がありますから、今は踏ん張りどころです」
そんな客観的な言葉が、迷える経営者の背中を押すきっかけになることがあります。
税理士への報酬を、単なる「事務作業代」と捉えるか、
「経営の参謀を雇うコスト」と捉えるか。
それによって、得られるリターンは大きく変わります。
ぜひ、私たち税理士をもっと頼ってください。
もっと質問攻めにしてください。それに答えることが、私たちの喜びでもあります。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、経営者として会社を守るために知っておくべき
「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」の違いと
「貸借対照表(B/S)」の見るべき3つのポイントについてお話ししました。
重要なポイントを改めて振り返ります。
- P/Lは「1年間の成績表」、B/Sは「会社の健康診断書」である。
- 「利益」と「現金」は別物。P/Lだけでは資金ショートのリスクに気づけない。
- B/Sは「現預金残高」「自己資本比率」「固定資産と借入のバランス」
の3つは毎月チェックする。 - 税理士は「過去の処理」だけでなく、「未来の投資判断」のために活用する。
数字は、会社があなたに送っているメッセージです。
その声に耳を傾けることは、あなた自身だけでなく、
大切な従業員やご家族の生活を守ることにも繋がります。
「数字は苦手だ」と避けて通らず、まずは毎月の試算表を、
これまでとは違う視点で眺めることから始めてみてください。



