源泉所得税の納期の特例とは?メリットと申請方法を具体的に解説

012源泉所得税の納期の特例 メリットと申請方法を具体的に解説 個人事業主

源泉所得税の納期の特例とは、
給与等から天引きされる源泉所得税について
毎月納付から年2回の納付に変更することができる特例です。
毎月、納付の事務手続きを行うのが煩雑だと思われる方は、
源泉所得税の納期の特例を利用してみた方がよいでしょう。

この記事では源泉所得税納期の特例について説明しています。

源泉所得税の納期の特例とは

源泉所得税の納期の特例とは、
給与等から天引きされる源泉所得税を毎月納税しないといけないところを、
下記の表のように年2回にまとめて納税することができる制度です。

納付期限
原則支給月の翌月10日
納期の特例1月から6月の間に支給した分 ・・・7月10日
7月から12月の間に支給した分・・・翌年1月20日

この源泉所得税の納期の特例を適用するためには、
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する必要があります。

注意点として、この源泉所得税の納期の特例の対象となる源泉所得税は、
給与や退職金から天引きされた源泉所得税と
税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした源泉所得税に
限られています。
デザイナー、ライター、外交員等に対して支払った報酬から天引きされる源泉所得税については、
この特例の対象とはならないので、
原則通り支払った月の翌月10日までに納税する必要があります。

源泉所得税の納期の特例のメリット・デメリット

源泉所得税の納期の特例のメリットは、納税が年2回にまとめられることです。
そのため、納税のタイミングが遅くなるため、その間の資金繰りに余裕ができます。

例えば、1月に支給した給与から天引きされた源泉所得税は、
原則的には、翌月2月10日までに納税しなければいけないところを、
納期の特例を適用すると、7月10日まで納税を遅らせることができます。

デメリットとしては、2回にまとめて納税するため、
一回当たりの納税金額が増えてしまうことです。
そのため、納税の際に資金繰りが厳しいときは負担感が増えてしまいます。
納税のことを忘れないようにして、納税資金を確保しておかないといけません。

メリット納税を遅らせることができ、資金繰りに余裕ができる
デメリット1回あたりの納税額が増えるため負担感が増える

特例を適用できる条件

源泉所得税の納期の特例を適用できる場合は、
給与を受ける従業員及び役員が10人未満の事業者(会社や個人事業主)
に限られます。

開業当初は、従業員数が10人未満のことが多いのでほとんどの事業者が
源泉所得税の納期の特例を適用できると思います。

しかし、従業員数が10人を超えた場合には源泉所得税の納期の特例が適用できなくなります。
この場合には源泉所得税は毎月納税しなければいけません。

なお、特例を適用できなくなったら
「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」
を提出する必要があります。

納期の特例の承認に関する申請書の提出について

源泉所得税の納期の特例を適用するためには、
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
を管轄の税務署に提出する必要があります。

管轄の税務署は、国税庁の下記のサイトより確認できます。
国税庁 税務署の所在地などを知りたい方

・提出期限について

提出期限はありません。

・源泉所得税の納期の特例の効力の発生について

原則として、申請書を提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。

例えば、納期の特例申請書を提出した月が2月中の場合には以下のとおりです。

2月支給分の源泉所得税(納期限)3月10日
3月~6月支給分の源泉所得税(納期限)7月10日


2月支給分はまだ、納期の特例の対象外ですので、
原則通り翌月3月10日までに納税となることに注意しましょう。

納期の特例の承認に関する申請書の記載方法

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の記載方法について説明します。

012源泉所得税の納期の特例とは

①日付

提出する日付を記載します。

②税務署長殿

提出先である住所又は本店の所在地を管轄する税務署名を記載します。

③住所又は本店の所在地、氏名又は名称、法人番号、代表者氏名

申請者である事業者の情報を記載します。
法人番号は、国税庁の下記のサイトより確認できます。

国税庁 法人番号公表サイト

個人事業主の場合には、マイナンバーの記載は不要です。

④給与支払事務所等の所在地

給与支払事務所等とは、給与等の支払事務を取り扱う事務所のことです。
③の住所又は本店の所在地とは別に給与支払事務所等を開設していなければ、
記載しなくてよいでしょう。

⑤申請の日前6か月間の各月末の給与の支払を受けるもの野人員及び各月の支給額

申請の日前6か月間の支給した給与に関する情報を記載します。
個人事業主の開業又は法人の設立時に提出する場合には記載しなくてよいです。

⑦税理士署名

顧問契約を結んだ税理士が申請書を作成する場合に税理士の署名をする欄となります。
ご自身で申請書を作成する場合には空欄でよいです。

まとめ

源泉所得税の納期の特例について説明しました。
源泉所得税の納期の特例とは、給与等から天引きされる源泉所得税の納付を
毎月から年2回に変更するための手続きです。
納付金額は全体では変わりませんが、納付期限に猶予ができるため
資金繰りに余裕ができるメリットがあります。
源泉所得税の納期の特例に興味がある方は、
源泉所得税の納期の特例の申請書を税務署に手続してみましょう。