源泉徴収票の見方とは?経営者ならば知っておきたい最低限の知識の解説

011源泉徴収票の見方とは?経営者ならば知っておきたい最低限の知識の解説 税金

源泉徴収票とは、その年に支給した給与額や源泉所得税の額を記載した書類です。
源泉徴収票は、その年の収入を証明する書類として使われるため
その見方も知っておきたいものです。
この記事では源泉徴収票の見方について説明します。

源泉徴収票とは

源泉徴収票とは、役員や従業員に対して
その年の1月1日から12月31日までの間に支給した給与額や源泉所得税額等に
ついて証明する書類となります。

会社は従業員に対して、源泉徴収票を交付する義務があるので
毎年必ず作成しなければいけません。

また、従業員にとって源泉徴収票はその年の収入の証明資料となるため
会社側は作成に当たって間違いが無いようにしないといけません。

源泉徴収票の交付が必要となるとき

源泉徴収票は、以下の場合に交付する義務があります。

①年末調整完了時

毎年、年末調整が完了し、その年の給与額や源泉所得税額等が確定した後に源泉徴収票を発行します。
この場合には、その年の翌年1月31日までに交付しなければいけません。(所得税法 第226条)

②年の途中で従業員が退職したとき

従業員が年の途中で退職した際に源泉徴収票を発行します。
この場合には1月1日から退職日までの間に支給した給与額や源泉所得税額を
記載した源泉徴収票となります。

退職日から1カ月以内に発行する必要があります。(所得税法 第226条)

源泉徴収票の見方

源泉徴収票の各項目について説明します。

①支払を受ける者

支払を受ける者とは、給与等の支給を受ける従業員のことです。
従業員の住所、マイナンバー、役職、氏名を記載します。

②種別

給与等の内容を記載します。
「給料」、「給料・賞与」と記載します。

③支払金額

その年に支給した給与や賞与の合計額を記載します。
下記の点について注意が必要です。

・合計額の中には残業手当や役職手当といった手当も含まれますが、
 通勤手当は含まれません。

・その年に途中入社した従業員について年末調整する場合には、
 前職の給与等の金額も支払金額に含まれます。
 そのため、前職から源泉徴収票の交付を受ける必要があります。

④給与所得控除後の金額

給与所得控除を差し引いた後の金額を記載します。
給与所得控除後の金額は、
③支払金額から給与所得控除額を控除した金額です。
給与所得控除とは、所得税の計算の際に給与等の支払金額から一定額を控除する制度です。
具体的には、令和5年時点では、下記の表の通りです。

源泉徴収票とは 給与所得控除

国税庁 給与所得控除

⑤所得控除の額の合計額

所得控除の額の合計額を記載する箇所です。
所得控除とは、所得税の計算の際に適用される控除のことです。
控除を受けると所得税の負担が減ります。

具体的には以下のような控除があり、
適用を受けた控除の合計額を記載します。

雑損控除災害または盗難もしくは横領による損害を受けた場合の控除
医療費控除一定額以上の医療費を支払った場合の控除
社会保険料控除社会保険料を支払った場合の控除
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合の控除
生命保険料控除生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合の控除
地震保険料控除地震保険料を支払った場合の控除
寄附金控除国や地方公共団体等に寄付金(ふるさと納税)を支払った場合の控除
障害者控除 本人又は家族が障害者の場合の控除
寡婦控除 本人が寡婦に該当する場合の控除
ひとり親控除 本人がひとり親に該当する場合の控除
勤労学生控除 本人が勤労学生に該当する場合の控除
配偶者控除 配偶者の所得が一定額以下の場合の控除
配偶者特別控除 配偶者の所得が一定額以下の場合の控除
扶養控除 扶養親族がいる場合の控除
基礎控除 本人の所得に応じて適用できる控除

各控除の詳細については下記の国税庁のサイトをご確認ください。

国税庁 所得控除のあらまし

⑥源泉徴収税額

その年の源泉徴収税額を記載します。
年末調整の有無によって記載する金額が変わります。

  • 年末調整した場合

  年末調整した後の源泉所得税(復興特別所得税も含む)を記載します。

  • 年末調整していない場合

  その年に支給した給与等から天引きされた源泉所得税の合計額を記載します。

⑦中途就・退職

その年の中途就・退職した日を記載します。

⑧受給者生年月日

 受給者(従業員)の生年月日を記載します。

⑨支払者

給与等を支給した事業者(会社、個人事業主)の、個人番号(マイナンバー)・法人番号、住所・所在地、氏名・名称を記載します。

なお、上記①~⑨以外の項目については、年末調整をした際の情報を記載します。

まとめ

源泉徴収票の具体的な見方について説明しました。
源泉徴収票は、1年間の給与額や源泉所得税額を記載した書類で、
給与を支給した事業者は必ず作成して従業員等に交付しなければいけません。
源泉徴収票についてご不安な方はぜひ弊所までご相談ください。