試算表とは、会社の事業年度の途中の業績を説明する書類です。
試算表は、経営者が会社の現在の状況を知りたいときに作成する内部資料です。
経営者であれば、決算書との違いも含めて試算表がどういったものか理解しておきましょう。
この記事では、試算表の基本的な知識を説明します。
試算表とは
試算表とは、事業年度の途中の業績が分かる資料のことです。
ざっくり言うと、経営者が直近の業績を知りたいと思ったタイミングで
そのタイミングまでの期間の決算書を作成するイメージです。
試算表は、決算書と同じく会社の業績が分かる資料ですが、以下の2点で違います。
- 集計期間
- 内容の精度
①集計期間について
試算表はその集計期間が決算書の集計期間と違います。
決算書は、集計期間が事業年度全体となりますが、
試算表は、集計期間が経営者の知りたい期間となります。
そのため、3月決算の会社の例を挙げると
決算書の集計期間 = 4/1~3/31
であるのに対して、試算表は経営者がこの期間の業績が知りたい期間で作成します。
つまり、年度途中の9月までの業績が知りたいと思えば
4/1~9/30の集計期間の試算表を作成し、
年度途中の12月までの業績が知りたいと思えば
4/1~12/31の集計期間の試算表を作成します。
通常、試算表は、毎月、3か月ごとに作成することが多いです。
②内容の精度について
試算表と決算書ではその内容の精度が違います。
決算書は法律によって必ず作成しなければならないもので、
株主や債権者といった外部に報告するため
内容は正確に作成されなければいけません。
一方で、試算表は経営者が業績を知りたいときに作成する内部資料です。
そのため、業績を早く知るために経営の良し悪しの判断を間違えない程度であれば、
精度を落として概算で行う場合があります。
(もちろん正確かつ迅速に作成できるに越したことはありませんが)
例えば、経費について、決算書では実際の金額を1円単位で正確に記帳しないといけませんが、
試算表では、1万円単位の概算で記帳しても問題ありません。
試算表の役割
試算表の役割は以下の2つになります。
- 年度途中の業績が分かる
- 金融機関に借入の申し込みをする際の添付資料
①年度途中の業績が分かる
試算表の最大の役割は年度途中の業績が分かることになります。
決算書は事業年度が終わってから1年分をまとめて作成するため、
決算書だけではその間の業績が分からないことになります。
そこで、試算表を作成することによって年度途中の業績が分かることになります。
途中で業績が分かれば、現状の経営の良し悪しがわかるので
そのタイミングで適切な対応がとれます。
ただし、迅速な対応のためには試算表も迅速に作成する必要があります。
例えば試算表が必要になった場合に、
全く記帳してなく、試算表の作成に時間がかかってしまっては
迅速な対応ができず試算表の意味がありません。
②金融機関に借入の申し込みをする際の添付資料
金融機関に借入の申し込みをする際に試算表の提出を求められることがあります。
金融機関側からすれば、融資先の会社の業績は非常に重要なこととなります。
決算書で前の事業年度の業績が分かりますが、
最新の業績を知るために直近までの試算表を求めてきます。
注意点として、試算表は内部資料ですが
金融機関に提出する際には、内容の精度には留意しましょう。
実態にそぐわない試算表を金融機関に提出してしまうと問題となります。
試算表の作り方
試算表の作り方は、ほとんど決算書の作り方と同じです。
試算表は、決算書の途中経過の書類なので、
事業年度を通じて決算書を作成するための記帳を進めていけば
試算表は作成できます。
試算表を作成するためだけに特別な作業は必要はありません。
【記帳の流れ】
①取引の発生
②取引を仕訳帳に記帳する
③総勘定元帳の作成
④試算表の作成
記帳にあたっては以下の点に注意しましょう。
- 記帳作業を日頃から溜めないようにしないといけません。
試算表の最大の役割は、会社の業績を適時に把握することです。
経営者が業績を知りたいと思ったときに記帳作業を全く行っていない場合には
試算表が作成されるまで時間がかかってしまいます。
現在では、自動取り込みといったITツールを活用することで
効率化を図ることが記帳作業の効率化を図ることができます。
- 概算で記帳するのもあり
試算表の迅速な作成を優先して、概算で記帳してしまいましょう。
試算表はあくまで経営者の経営判断のための内部資料のため
記帳のための資料が揃わず、試算表を作成できない場合には
概算で記帳してしまいましょう。
後日、正確なものに差し替えれば決算書作成の上でも問題ありません。
まとめ
試算表について解説しました。
試算表は経営判断をするうえで非常に大切なものです。
経営判断のために毎月試算表を確認したいと考えている経営者の方もたくさんいらっしゃいます。
必要なときにすぐに試算表を確認するためには
日頃から記帳作業を溜めずに進めておける経理体制が必要となります。
なかなか自社だけでは、試算表の作成ができない場合には税理士に相談してみましょう。
税理士が記帳業務を請け負ったり、ITツールの活用方法をお伝えしたりすることで
お役に立てると思います。